インタビューーサン・フレアとはたらくひと
翻訳は“自由と学び”をくれる仕事
TTさん
日本でIT企業の社内翻訳などに従事された後、ベトナムに帰国。副業として通訳・翻訳の仕事を始め、現在はフリーランスとして活躍されているTTさん。サン・フレアに登録されているベトナム語翻訳者の中でも、常に高品質な翻訳をご納品いただいている翻訳者のお一人です。今回は、そんなTTさんに、これまでのご経歴やご経験、そして現在から今後の働き方についてお話を伺いました。
翻訳を始めたきっかけ
IT企業で日本とベトナムの開発チームをつなぐ“橋渡し役”として、社内文書や日々のコミュニケーションを訳したのが、翻訳の最初の一歩でした。2006~2009年に日本でIT関連の仕事に従事し、社内翻訳も担当していました。ベトナム帰国後の2010年、知人の紹介で通訳の仕事を始め、同じ会社から「翻訳もやってみないか」と声がかかって、フリーランスとして本格的に翻訳にも取り組むようになりました。当初は本業のかたわら、夜に翻訳する副業としてスタートしました。
ー TTさんは非常に高品質の翻訳を納品いただいていますが、翻訳の学習は基本的に独学だそうです。
最初は社内翻訳から始めましたので、現場のOJTでコーディネーターとやり取りし、チェッカーのコメントを受けながら訳文を仕上げ、スキルを磨いてきました。現在も日本語・ベトナム語のニュースを毎日追い、日本の映画で日本語の感覚を保つなど、情報収集と語学の基礎体力づくりを継続しています。年に2~3回は来日して、現地の空気感や新語・トレンドに触れることも欠かしていません。
サン・フレアとの出会い
2011年2月、サン・フレアの翻訳トライアルに合格しました。最初は日本語→ベトナム語訳での合格で、その数年後にベトナム語→日本語にも挑戦したいと伝えました。ありがたいことに、高得点で合格することができました。
ー TTさんも登録当初は翻訳だけでは独立できる仕事量はなかったそうです。経験を積んでいくことで翻訳での収入が増え、独立を決意されました。
登録初期から継続的に御社から案件をいただいています。プロジェクトマネージャーさんからの信頼も得られたのか、徐々に大きなお仕事を任せていただけるようになりました。様々な翻訳を経験し、専門性と品質の両面を高められたと思います。
現在のお仕事
現在は翻訳が約8割、通訳が約2割です。コロナ禍以降、通訳の機会が減り翻訳中心の働き方にシフトすることになりました。
ー TTさんは翻訳に加えて、通訳業務も継続して対応されています。
通訳が入る日は、事前資料の読み込みなど準備に時間をかけます。終業後に翻訳へ切り替えることもあり、深夜1~2時まで取り組む日もあります。一方で、仕事が落ち着いている日はニュースや映画でインプットを行い、旅に出たり友人と過ごしたりと、フリーランスならではの裁量の大きさを感じています。
ー幅広い分野や大量の翻訳をお一人で対応されるなど、翻訳技量の高さが垣間見えました。
翻訳で扱う分野は広く、通信大手のサービスプラン・店頭配布チラシ、各種マニュアルなど、印刷物として世に出るコンテンツも長年担当してきました。大規模な医療分野の案件では、医師向けの教科書を数百ページにわたり一人で翻訳。ほかにもサプリメントの資料や自動車キットのマニュアルなど、生活に直結する文書を数多く手がけています。
ー翻訳・通訳以外にも、ベトナム在住の日本人向け日本語フリーペーパーの「審査(チェック)」業務を2010年から継続。
ここでの役割は語学表現の添削ではなく、記事内容がベトナムの法律、商習慣、公序良俗、文化の観点、常識などに抵触していないか、事実関係が正確かを確認すること。出版許可の可否に関わるため、高い信頼性と中立性が求められる重要な仕事です。
ー語学力を維持のためのルーティンも明確です。
ニュースの多読・多聴、日本映画での表現確認、そして年に数回の来日で言語感覚をアップデートしています。地道な積み上げが、通訳では「聴き取りと話し方」、翻訳では「読解と記述のスピード」に直結していると感じます。
翻訳をやっていてよかったこと
まず実感するのは「言語力の維持・向上」ができることです。海外在住だと日本語に触れる時間が減りがちですが、通訳で“聴く・話す”、翻訳で“読む・書く”を鍛え続けることで、日本語とベトナム語の両方を実務水準で磨き続けられます。分野横断で学べるため、専門知識が自然と蓄積される点も魅力ですね。
ーフリーランスでは会社組織のしがらみから距離を置きつつ、自分のペースで生活を設計できるとのこと。
次に「働き方の自由度」。スケジュールの幅が広い分、自己管理は必須ですが、その裁量が自己成長へのモチベーションになっています。最近では翻訳通訳以外に、講演や日越通訳の授業などを引き受けたりしています。
ーご自身の翻訳を実際の販売店でご覧になられたときの喜びを楽しそうに語っていただきました。
そして「成果が形になって世に出る喜び」。自分が翻訳した文書が、実際に店舗で配布されるチラシ・マニュアルとして並ぶのを目にしたときの高揚感は、何度味わっても格別。数百ページ規模の医療書籍をやり切った経験も、プロとしての自信と糧になりました。
ー翻訳や講師などをバランスよく取り入れて活躍の場を広げていらっしゃいます。
仕事観にも変化がありました。納品前に2~3回のセルフチェックを徹底する姿勢は、日常の細やかな確認癖にもつながり、性格面の「丁寧さ」を育ててくれたといいます。翻訳や通訳以外でも、講師・スピーカーなど他の活動と組み合わせることで、収入面だけでなく人とのつながりも保てるのが、フリーランスの良さだと実感しています。
ー生成AIなどによる翻訳が台頭してきている中でも人の手による翻訳に価値を見出すことができるとおっしゃっています。
生成AI時代ならではの“人の目”の価値も実感。例えば、大学の先生(講師)宛のメールで、AIが“Teacher”を“Doctor”と誤訳したケース。語用論や文脈判断が絡む場面では、最終判断を担うプロの介在が欠かせないと感じています。
ー翻訳は人生にもよい影響を与えてくれているそうです。
翻訳は、知識が増え、時間と場所の自由度が高まり、そして人格の細部まで“磨いてくれる”仕事です。ニュースで語彙を増やす、映画で表現を拾う、訳文は2~3度は必ず見直すなど、基本を大切にする積み重ねが、確かな品質につながります。
将来の夢
AIの浸透でメールなどの容易な内容の翻訳需要は減った一方で、深い理解と責任を伴う大きな案件に挑み続けたいですね。4年前には、日本の“おもてなし”をテーマにベトナム語で書籍を執筆し、完売・重版を経験。講演や授業の機会を通じて、通訳・翻訳の経験を若い世代に伝えることにも力を入れたいと考えています。プライベートでは旅が大好きで、現在約20か国の訪問歴を、これからもっと増やしていくつもりです。
編集後記
言語と誠実に向き合い、学びを積み重ね続ける姿勢、そして日々の地道な努力と自己管理が、自由な働き方と確かな品質を支えている。TTさんのお話から多くの示唆をいただきました。
伝える力が、価値を生む。
サン・フレアでその力を発揮しませんか。